一般的に「呼吸」というと外気を肺に取り込む呼吸(外呼吸)しか知られていませんが、実際には細胞も同じように呼吸しています。体中にめぐる血液を介して細胞は酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出しているのです。この活動は医学的に細胞呼吸(内呼吸)とよばれ、私たちの健康維持にとってとても重要な働きです。それは肌にとっても同じこと。皮膚自体が息を吸ったり吐いたりすることはありませんが、肌細胞も体と同じように呼吸活動を行っているのです。
呼吸活動によって、細胞のひとつひとつにまで酸素が行き渡ると、細胞にとって唯一のエネルギー源となるATPという物質が作り出されます。このATPが十分に作られれば、肌細胞は活発に活動することができ、自ら潤いやハリを保つことができます。ところが、年齢とともに酸素が行き渡りにくくなり、肌は酸欠状態に陥りやすくなります。すると美しい肌に必要なATPを生み出せず、肌細胞も体と同じように呼吸肌老化を加速させてしまいます。
細胞が酸素を取り込みにくくなる一番の要因は毛細血管の減少です。体中に張り巡らされている毛細血管は、肌細胞に酸素を送り込むために必要不可欠な存在なのですが、加齢とともに血管が衰えて減少しやすくなることがわかっています。血管の量が少ない人ほど、老化スピードが加速してしまい、シワやたるみなどの悩みが現れやすくなります。
細胞呼吸を活性化するためには、血液のめぐりを良くすることが大切です。腹式呼吸やマッサージ、あたためることで血流を上げることができますが、基本となるのはやはり食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えること。またストレスが溜まると呼吸が浅くなりやすいので、できるだけポジティブな意識でリラックスして過ごしましょう。スキンケアやベースメイクは、あまり皮膚全体を覆い隠すような被膜感のあるものは避けて、いきいきと代謝しやすい肌環境を育むこともポイントです。