わたしとこれから 夢を叶えた女性たち vol.9

女性を応援するために日本に持ち込んだ靴

ピンクの華やかな空間に、カラフルな靴が並ぶ。オシャレで可愛くて、そして機能的。働く女性や子育てママ、アクティブな学生にも人気が高いSPUR(シュプール)は、韓国ブランドの靴だ。


「テレビでSPURを知り、ママさんや働く女性のために、どうしてもこのブランドが欲しいと思ったんです」。と話すのは、この靴を日本に持ち込んだ木田祐子さん。従来のフラットシューズは機能性重視でファッション性は二の次だったが、SPURは両方を兼ね備えている。子育て中もおしゃれができて、仕事をしている時でも快適に過ごせるところに魅力を感じた。


当時、すでに大手企業が販売権獲得に乗り出していたが、4ヶ月に及ぶ交渉の末、日本総代理店の権利を獲得した。「靴を売っているというより、女性の仕事とプライベートを足もとから支援するという感覚です」と語る。

人気No.1「定番エンブレムふかふかフラットシューズ」。シンプルで使いやすく、足裏が疲れにくい。「それまでヒール靴を愛用していましたが、この靴の履き心地に驚きました。もう手放せません」と木田さん。

人気No.1「定番エンブレムふかふかフラットシューズ」。シンプルで使いやすく、足裏が疲れにくい。「それまでヒール靴を愛用していましたが、この靴の履き心地に驚きました。もう手放せません」と木田さん。

中学卒業後、イギリス留学した息子からの手紙。異国で試練を乗り越えた彼の存在は、木田さんの原動力。壁にぶつかるたびに読み返す宝物だ。

中学卒業後、イギリス留学した息子からの手紙。異国で試練を乗り越えた彼の存在は、木田さんの原動力。壁にぶつかるたびに読み返す宝物だ。

働きたい女性のために何ができるのかを考えた

木田さんは、もともとは経理職。27歳で出産し、仕事と育児を両立してきた。39歳で転職した人材派遣会社で経理から営業への転属を命じられるが、営業のイロハも分からないまま現場へ出され、最初の一ヶ月半は売上ゼロ。初めての契約が取れた時に人のありがたさを痛感し、人と関わる仕事の面白さに目覚めた。そして半年後には会社の売上を12倍、一年後には17倍にして支店長となった。

「でも、女性にはなかなか就職を紹介できませんでした。女性は結婚や出産、育児などのライフイベントのたびに仕事を休まなければならず、復職したくても年齢や時間の制約が壁となります。能力もマインドもあるのに仕事を紹介できないことに疑問を抱くようになり、女性専用の人材派遣会社を作ろうと思いました」。こうして42歳で独立、株式会社オムキャストを設立した。


子育てなどで働く時間が限られ、一日5~6時間しか仕事ができないという女性は多い。「私は両親に手助けしてもらいながら子育てと仕事を両立しましたが、それが難しい人も多い。そういう女性たちの話を聞いて、私に何ができるのだろうと考えました」。そこで木田さんは社内教育で女性のスキルをあげ「6時間で8時間分働ける人材」として働く女性の価値を高めて企業に売り込んでいった。
一方で、女性支援起業塾も開講。起業を目指す女性に実際に起業の形を見せるために、蕎麦屋の一角にあるわずか一坪の小屋を借りて、靴とバックの小さなお店を立ち上げた。「女性の起業は小さく生んで大きく育てる〝子育て〟と同じ。女性ならではの起業のやり方があります」。こうして女性起業家を育てるなかで出合ったのが、SPURの靴だった。SPURとの出合いを機に、新たにアンジュール株式会社を設立する。

女性たちの「いつか、きっと」をサポートする場所

社名の「アンジュール」はフランス語で「いつか」の意味。いつかきっと素敵なママになる、いつかきっと素敵な女性になる。そんな女性の「いつか、きっと」を応援したいという思いから名付けられた。

SPUR福井店は、田んぼに近いのどかな郊外にある。韓国大手ブランドのショップとなれば、東京の真ん中にお店を構えるのがセオリーだが…。「東京に出店するつもりはなく、地方しか考えていませんでした。東京には物も情報も溢れていますが、地方にはそういうお店がないため女性の選択肢が少ない。だから地方にこだわり、生まれ育った福井に出店したいと思ったんです」。そんな純粋な思いを韓国側に懸命に伝え、共感を得ることができた。こうして一号店を福井にオープン。それも女性の「いつか、きっと」を応援したいという強い意志の賜物だった。


「SPURは、ただ靴を売る店ではありません。輝く女性をつくる場所なんです」と木田さん。今後は店奥の一室をインテリア照明で彩り、働く女性のサロンとして開放する予定だ。「忙しい女性におすすめの料理ソースも販売しています。家庭と仕事の両立は大変です。頑張る女性を手助けすることをテーマに、わくわくするお店にしたいです」。こうした場を、今後は全国の地方都市にも広げていきたいとのこと。「50代になり、誰かのために生きているという思いが強くなったから、頑張れるのかも」。誰かのために生きる。それが木田さんの原動力。若い世代を見守りながら、慌てず丁寧に、女性のための場を作りたいと語ってくれた。

ワンピースが大好きな木田さん。コーディネートいらずで、ジャケットを羽織ればビジネスに、アフター5は一枚でOKなので、忙しい女性におすすめとか。

ワンピースが大好きな木田さん。コーディネートいらずで、ジャケットを羽織ればビジネスに、アフター5は一枚でOKなので、忙しい女性におすすめとか。

経営理念は「Kira Kiraイキル」。一人でも多く、輝く女性をつくりたいという願いが込められている。

経営理念は「Kira Kiraイキル」。一人でも多く、輝く女性をつくりたいという願いが込められている。

読者へのメッセージ

ヒストリー

1963.5(0歳)
福井県越前町で誕生
1981.4(18歳)
大手機械メーカーに入り、事務職に就く
1987.5(23歳)
結婚を機に転職し、17年間経理に携わる
1990.8(27歳)
長男誕生。仕事と子育てを両立しながら、
充実した日々を送る
2002.10(39歳)
人材派遣会社に経理として入社するも
一ヵ月後に営業に転属。
半年後に売上を12倍、1年で17倍にして支店長となる
2005.6(42歳)
「女性による女性のための人材派遣」
株式会社オムキャスト設立
2007.5(44歳)
女性の起業を応援する女性支援起業塾をスタート
2012.5(49歳)
アンジュール株式会社設立、
フラットシューズ専門店SPURオープン

※ 年齢は取材時のものです。

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