わたしとこれから 夢を叶えた女性たち vol.7

”未病を治す“とうもろこしみそとの出合い

腸内環境がいかに大切かということが言われ始めて久しい昨今。健康作りの一環として、薬剤師の見地から発酵食品の重要性を説き、無添加発酵調味料・とうもろこしみその製造・販売をしている中並美樹さん。

東洋医学には昔から“未病を治す”という概念がある。薬剤師として長年、西洋医学と東洋医学の統合医療の病院に在籍していた中並さんは、いつしか予防医学の観点から“食”について勉強するように。

そんな時に出合ったのが、野見山和子さんというおばあちゃんが作ったとうもろこしみそ。口にするとほんのり甘みがあって、とってもおいしく、食生活に取り入れてみると、便通もよくなり長年悩まされていた冷え性も改善した。これを体験した中並さんは、とうもろこしみそをはじめとした発酵食品を予防医学に活用できないかと考えるようになる。

中並さんの元気の源。祖母の代から愛飲している毎朝のスムージーにも、野菜や果物のほか、とうもろこしみそをティースプーン1杯分入れている。

中並さんの元気の源。祖母の代から愛飲している毎朝のスムージーにも、野菜や果物のほか、とうもろこしみそをティースプーン1杯分入れている。

製造は福岡県八女市にある明治18年創業の「マルモ醤油店」に協力してもらっている。無添加発酵調味料「とうもろこしみそ」は300gで1400円(税抜)。全国発送も可。

製造は福岡県八女市にある明治18年創業の「マルモ醤油店」に協力してもらっている。無添加発酵調味料「とうもろこしみそ」は300gで1400円(税抜)。全国発送も可。

東日本大震災を機に法人化を決意!

とうもろこしみそを広めて、全国の方々に食べてもらいたい、という中並さんの思いに拍車がかかったのは、ほかでもない2011年3月に起こった東日本大震災だった。

「ちょうどこの時に思い出したのが、以前、読んだことのある秋月辰一郎著の『死の同心円』(長崎文献社)だったんです。内容は長崎で被爆した医師の記録なんですが、被爆者にできるだけ塩分を摂取させ、砂糖を禁じて、玄米飯と味噌汁といった食生活を勧めたところ原爆の症状が出なかったという本なのです。」

予防医学の観点から考えても発酵食品の重要性は高い。そのうえ、普通の味噌汁は好まないけれど、とうもろこしみその味噌汁だったら、子どもが喜んで食べてくれるというお客さまの声もあるイベントで耳にしていた。今こそ、とうもろこしみそを広めなければ!中並さんの決意は固まった。

その後、商品化にあたり、遺伝子組み換えのないとうもろこしを無農薬で作ってくれる農家さんとの交渉や、手間暇のかかるおばあちゃんのレシピでみそを造ってくれる職人さんをはじめ、製造して保管してもらえる蔵探しに駆け回る日々。

「時には心が折れそうになることもありましたが、震災で体調を壊している方々のためだと思うと多少寝ていなくても不思議と頑張れました」と中並さん。当時、とうもろこしみそは手作りのパッケージで、病院内で患者さんに安価で分けていたというが、とうもろこしみそをもっと多くの人に広げるには法人化した方がいいと専門家からアドバイスされ、時間のない中、起業塾にも通い出した。そこでの学びはより一層、中並さんの士気を高めたという。

40歳で無事、法人化が実現。”利他の精神“を社名に!

努力の甲斐があって、2013年12月に会社設立。社名は中並さんが常日頃から抱えていた思い“利他の精神”からとって、RITAと名付けた。

「とうもろこしみその発売にあたり、ネックになったのは価格面でした。安全性を考えて遺伝子組み換えのない無農薬のとうもろこしを使っていますし、薬効食品である南蛮毛(とうもろこしのひげ)やウコンなども入れています。従って、どうしても原価率が高くなり、通常のみその約3倍も高くなるんです。」

そこで、とうもろこしみそは味噌汁を作るためだけの味噌ではなく、無添加発酵調味料という付加価値をつけてさまざまな料理に使えることをリーフレットで解説した。「RITAではとうもろこしみそしか販売していませんが、私の思いはただひとつ。健康を維持するために毎日、発酵食品を摂っていただきたいのです」と語気を強めた。
商品発売後は、自然食品店に卸したり、個人商店にも置かせてもらったりするようになった。話題が話題を呼び、草の根的ではあるが徐々にメディア露出も増えてきている。

「何よりもうれしかったことは、とうもろこしみその産みの親である野見山のおばあちゃんが生前、すごく喜んでくれたことなんです。特許まで取得していたものだから、思い入れも相当深かったはず。おばあちゃんの愛したとうもろこしみそで、多くの方々を幸せにしたいですね」と中並さん。日本全国のみなさんに食べてもらえるように、食のイベントなどにも積極的に参加して、とうもろこしみその普及に努めている。

自然食品店に納品しているところ。一つひとつに願いを込め、丁寧に陳列していく。

自然食品店に納品しているところ。一つひとつに願いを込め、丁寧に陳列していく。

読者へのメッセージ

ヒストリー

1973.7(0歳)
福岡県飯塚市で誕生
その後、11歳の時に福岡市内に引っ越す
1998.3(24歳)
大学(薬学部)卒業
1998.4(24歳)
内科医院に入社
1999.5(25歳)
薬剤師の国家資格に合格
2000.12(26歳)
市内の薬局で薬剤師として働く
2001.3(27歳)
西洋と東洋の統合医療の内科に入社
2011.3(37歳)
薬剤師をしながら起業塾に通う
2013.12(40歳)
株式会社RITAを設立
今に至る

※ 年齢は取材時のものです。

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