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わたしとこれから 夢を叶えた女性たち vol.16

道はひとつにあらず!35歳で「無職」に

開店以来、航空会社の機内誌や全国誌などでも多く紹介され、熱い注目を集める別府竹細工の店「bamboo bamboo」。その代表が中村友紀さんだ。中村さんは某有名セレクトショップで15年間働き、店長も経験。そのキャリアをすべて捨て41歳の時、故郷・別府で開業した。

「会社員の頃は一部上場するなど業績も良く、給料も満足できるものでした。でも、次のキャリアアップが見いだせず〝自分を試したい!”、そんな思いが膨らんでいきました」。

35歳で退職し「40歳までは次の目標を見つけるために時間とお金を使おう」と決意。周囲からは反対されたが、「次にやりたいことを見つけるために人生をリセットする時間も必要だと考えました。離婚をして自由を得た感覚にも後押しされました」と、新しい一歩を踏み出すべく、別府のまちづくりNPO法人で働きはじめる。しかし、その頃、健康診断で癌が発見される。

JR大分駅の車両倉庫で記念撮影

まちづくりの活動ではJR大分駅の車両倉庫の見学ツアーも開催。

情報誌「みちこみ」

定期的に情報誌も発行している。

竹細工のバッグ

最初に取引が始まった作家、伝統工芸士である高江雅人さんの作品。真竹が丹念に編み込まれており、まさに“一生モノ”と呼ぶにふさわしい価値がある。

人生をリセットし、見えてきた目標

癌が見つかった時、中村さんの中で、病気への恐怖は不思議なほど大きくなかった。「幸いにも早期発見だったというのもありますが、医者からも心配されるほど楽観的でした。病気はドクターに任せるしかないと思ってましたから。むしろ、せっかく得た自由な時間が病気で削られるのが嫌でしたね。でも、それもいつしか〝人生のリセットの一環”と捉えるようになりました。元気になったら、病気で停滞してしまった時間を取り戻し、再び自分の可能性に挑戦して行こう!と考え方を切り替えました」。

支給された保険給付金も「生きたお金の使い方がしたいから」と自分たちのまちづくり団体設立に使った。そして退院後、まちづくりの仕事に勤しむ中で「竹細工は大分唯一の伝統工芸品なのに、お店には輸入ものが並んでいる。本物はどこで買えるの?」という町の人たちの声を耳にするように。

「竹細工は自分にとっては幼い頃から家に当たり前のようにあるものでした。しかし、何十年経っても現役で、むしろ時が風合いを育んでいる普遍性に改めて気づき、価値を再発見しました」。

ちょうど癌の発病からも3年が経ったその頃、転移の不安からも開放され、「そろそろ本格的に活動をはじめ、竹細工を紹介するショップを開業したい」と思うように。しかし、資金もなく、あるのは明確な目標と情熱、なんとかなるさという前向きな気持ちだけ。40歳を越えて、まさにゼロからのスタートを切った。

竹細工を産業として発展させたい

たったひとりでスタートした中村さんの開店準備。竹細工の作家を訪ね、ひとりひとりに丁寧に自分の想いを伝えていき、伝統工芸士である高江雅人氏の作品も扱えることになった。また、竹の技術を日本で唯一伝えている「大分県竹工芸・訓練支援センター」を訪ね、竹や作家のことも学んだ。資金も銀行融資のほか、国の創業支援制度も利用し、なんとか工面できることに。

「もう、本当に開店まではバタバタでした。竹が映えるように店内はブルーを基調にしたのですが、その色も30分でコレ!って決めたくらい(笑)。作家さんもまだどんなお店かもわからない中、よく作品を提供してくださったなと感謝しています。人生の転機の中で本当に人の縁に恵まれました」。

オープン後はマスコミにも注目され、記事を読んだ遠方の人からも商品の注文を受けるように。順調な船出のように見えるが、中村さんはもっと先を見ている。

「今、別府の竹細工は、作家さん個人の力によって支えられていますが、もっと産業として発展して、たくさんの雇用を生み、世界中の人に素晴らしさを知ってもらえるようにするのが夢です。英国王室が唯一、フォーマルな席での使用を認めているナンタケットバスケットのように、竹細工のバッグが認められたらいいなと」。大きな夢に向かって、彼女の歩みはますます加速している。

カップ、靴べら、箸、バターナイフ

竹という素材が身近にない欧米の人々にとって、竹細工は新鮮な感覚で受け入れられているそう。特にカップ、靴べら、箸、バターナイフなどが人気。

読者へのメッセージ

ヒストリー

1973.6(0歳)
大分県別府市生まれ
1991.4(17歳)
東京の「文化服装学院」に入学
1993.4(19歳)
大分市内の某有名セレクトショップのフランチャイズ店に勤務
1995.10(22歳)
働いていたショップの本社採用となり、福岡店で販売職につく
2004.9(31歳)
結婚
2007.8(34歳)
離婚
2008.6(35歳)
退職し、地元別府に戻り、職業訓練校で美容やパソコンなどを学び、さまざまな資格を取得
2011.8(38歳)
癌を発病。入院し手術を受ける。NPO法人で働きながら、友人が代表を務めるまちづくり団体「大分みちくさ小道」の実行委員として活動を始める
2015.1(41歳)
大分県の伝統工芸品、別府竹細工のショップ「bamboo bamboo」をオープン

※ 年齢は取材時のものです。

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