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わたしとこれから 夢を叶えた女性たち vol.15

“病気になって初めて自分と向き合う

現在、薬膳レストランや薬膳の学校を経営している代表の尹玉さん。レストランは連日予約をしないと入れないほどの人気店で、仕事や家庭で頑張っている女性のために、薬膳の学校で知識と食事という面からサポートしている。そんな尹さんも以前は“労働は美徳”だと考え、自分の身体を省みず、日本や上海で猛烈に働いた時期があった。ある日、健康診断でお腹に腫瘍が見つかった。手術はすでに決定していたが、それが良性か悪性か分からなかった時に、初めて本気で自分と向き合ったという。


「当たり前に来ると思っていた明日が来ないのかもしれないと思った時に、私はこれまで正しく生きていたのか、本当にやりたかったことは何? と考えてみたんです」。


そんな悶々とした日々を過ごす中で、尹さんは「もしも私を助けてくれるのであれば、これからは人の役に立つことをして生きていきます」と決意する。結果、病状は良性で大事には至らなかったが、この時期に自分と向き合ったことが尹さんの大きな転機となった。

手前が百合根粥(ゆりねがゆ)で、奥が南瓜薏苡仁粥(かぼちゃよくいにんがゆ)。薬膳レストランではグランドメニューだけでも、全15種類のお粥を味わうことができる。

手前が百合根粥(ゆりねがゆ)で、奥が南瓜薏苡仁粥(かぼちゃよくいにんがゆ)。薬膳レストランではグランドメニューだけでも、全15種類のお粥を味わうことができる。

薬膳レストランや薬膳の学校でよく使っている薬効食品(生薬)。棗(なつめ)、枸杞の実(くこのみ)、松の実(まつのみ)などがズラリと並ぶ。

薬膳レストランや薬膳の学校でよく使っている薬効食品(生薬)。棗(なつめ)、枸杞の実(くこのみ)、松の実(まつのみ)などがズラリと並ぶ。

猛勉強後、自ら体験した薬膳料理の威力!

開腹手術を行った尹さんは、術後なかなか体調が回復しなかったそう。「顔もくすんで、すぐに疲れるんです。また、なぜかゲップが出る。それは医者に診せても、薬を飲んでもなかなか止まりませんでした」。

会社を辞め、兄の友人でもあった上海大学の教授から中医学(中国伝統医学)や薬膳を教わり、独学で栄養学の勉強に勤しむ。すぐに夢中になった尹さんは、薬膳料理を食事に取り入れ、毎朝お粥を作って食べるようになった。

「自分でもビックリしたんですが、中国粥を食べ出して2ヶ月経ったころ、あれだけ何をやっても治らなかったゲップがパタリと止まったんです。調べるとお粥を作る時にできる独特のとろみは“米油”といって、高麗人参にも勝る滋養があったんです」。徐々に体調が回復していった尹さんは、薬膳料理の威力を身をもって体験したのだった。これを機に薬膳アドバイザー、国際栄養師を取得後、心のケアも大事と考えて、心理カウンセラーや催眠療法士の資格も取得した。

中医学の叡智で日本の女性をサポート!

以前から日本への憧れも強かったという尹さん。「日本の女性を薬膳で元気にしたい」と、34歳の時、薬膳レストランと中医学の叡智が身につく薬膳学院を福岡に作るために再来日した。さまざまなアルバイトで経験を積み、またいろんな人たちとの出会いによって、37歳の時にレストラン、翌年には薬膳学院を開設した。

「オープン後、資金繰りやスタッフ育成など、苦労した時期もありました。その時に助けてくださった方とは、今も仲良くお付き合いさせてもらっているんですよ。私の結婚式は日本で行ったんですが、両親がしみじみ“日本と中国はあまり仲が良くないのに、あなたは日本人のみなさまにこんなによくしてもらって幸せね”と言っていたんです。私も本当にそう思います」。


大好きな日本だからこそ、薬膳という側面から頑張る女性を応援したいという気持ちが強い尹さん。「現在の薬膳学院はレストランが定休日の時にこの場所で行っているんですが、今後は薬膳学院とレストランを切り離して別の場所を構えることも考えているんです。そこでは、食だけにとどまらず、東洋における民間療法のセミナーなども取り入れながらもっとトータル的にサポートできないかなと考えています」。ますます進化を遂げる尹さんの活動に、今後も目が離せない。

尹さんのトレードマークである色鮮やかなカーディガン。「顔色もよくしてくれるし、運気も上がるのよ!」と話す。

尹さんのトレードマークである色鮮やかなカーディガン。「顔色もよくしてくれるし、運気も上がるのよ!」と話す。

東方薬膳学院の生徒さんはすでに10期生が学んでいる。教材はきちんとした日本語で尹さんの手作りによるもの。

東方薬膳学院の生徒さんはすでに10期生が学んでいる。教材はきちんとした日本語で尹さんの手作りによるもの。

読者へのメッセージ

ヒストリー

1973.3(0歳)
中国・黒竜江省生まれ
1994.4(21歳)
学校を卒業後、来日し、語学学校の就学生へ
1995.4(22歳)
名古屋の大学に入学
1999.4(26歳)
同大学の大学院へ進学
2001.3(28歳)
大学院を卒業
2001.4(28歳)
日系のIT会社に入社後、営業担当として働く
2003.4(30歳)
同社退社
2003.9(30歳)
日系のゼネコン会社へ入社、上海に赴任して現地法人の立ち上げ
2005.10(32歳)
上海で入院&手術、退院後、薬膳や栄養学の勉強をスタート
2007.4(34歳)
同社退社
2007.8(34歳)
再来日して、福岡でアルバイト開始。飲食店や中国語講師、薬膳の講師、旅行ガイドなどを経験
2008.10(35歳)
専門学校で薬膳の講師
2010.7(37歳)
東方健寿実業株式会社を創設
2010.11(37歳)
薬膳レストラン「天地・礼心」を開設
2011.4(38歳)
東方薬膳学院を開設
2015.8(42歳)
中国人シェフと結婚、現在に至る

※ 年齢は取材時のものです。

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