わたしとこれから 夢を叶えた女性たち vol.13

“育ち盛りの子ども3人を抱えての再スタート!

鍼灸師、柔道整復師でもありながら、現在、整骨院やスポーツジム、飲食店などを経営している前田幸代さん。起業したきっかけは、41歳の時の離婚だった。


「当時、上の子どもは大学受験の直前で、一番お金のかかる時期でした。そのうえ医療系の大学でしたから学費も高く、あの時は正直、途方に暮れましたね。でも、親の勝手な離婚で子どもの将来を狭めたくはありません。何をどうしたら今の状況を乗り越えることができるのか、眠れないほど、真剣に考えました」。


求人誌を開いてみたものの、40歳すぎでは思うような職業の求人はなかった。そのうえ、運良く就職できたとしても、お給料だけでは大学の学費に加え、3人の子どもを育てていくことは到底できない。前田さんはこの厳しい現実を前に打ちのめされた。「だけど、生きていかなければなりませんから。何かに突き動かされるように、起業するしかないと覚悟を決めたんです」。

毎朝かかさず飲む一杯のコーヒー。最近、お気に入りのコーヒー豆はあびる珈琲。

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週2日はパーソナルトレーニングを受けている前田さん。ほどよくついた筋肉が若々しさを保っている。

週2日はパーソナルトレーニングを受けている前田さん。ほどよくついた筋肉が若々しさを保っている。

趣向を凝らしたジェラートはもちろん、ワッフルコーンも全て自家製。添加物や着色料が入っていないヘルシーさが好評を博している。

趣向を凝らしたジェラートはもちろん、ワッフルコーンも全て自家製。添加物や着色料が入っていないヘルシーさが好評を博している。

頭をフル回転させて、差別化を図ったビジネスを!

起業にあたり、鍼灸師、柔道整復師といった国家資格を持っていた前田さんは整骨院を開設することにした。とはいえ、子どもの通学エリアも考えて出店しようとした場所は、整骨院やマッサージ院の激戦区。同じようなことをしても、集客はおろか売上をあげることもできない。そこで、信頼のおけるビジネスパートナーと組み、プロ・アマ問わずスポーツ選手のメンテナンスや治療に特化した整骨院を作ることにした。

「開設にあたり、一番大変だったのは資金調達ですね。何度も国金に通っては私たちの思いを必死に担当者へ訴えました」。ビジネスパートナーの助言もあり、メンテナンスや治療だけではなく、トレーニングもできるようにしようと、パーソナルトレーニングに加え、当時話題をさらっていた加圧トレーニングも取り入れることにした。結果、融資を受けることができ、野球、相撲、ゴルフ、オートレーサーといったプロのアスリートや、少年野球の選手を対象に、スポーツに特化した整骨院兼スタジオをオープンさせた。

「私は思いついたら、即行動するたちなんです。あとになって後悔だけはしたくないので」と話す前田さん。起業してからも、もちろん紆余曲折あったというが、一切弱音を吐かず3年でどうにか軌道にのせる。そして、一つの事業に偏るリスクを考慮して、今度は整骨院兼スタジオの近所にカフェ&ジェラート店を開店させた。

「気がつけば私のまわりには子どもたちをはじめ、お客さまであるアスリート、何人ものスタッフたちがいました。私が毎日こうして頑張れるのは、まわりの人たちのおかげなんです。まわりのみんなを幸せにしたい。いつしかこれが私の夢になり、次なる目標になりました」。

人のためだから余計に頑張れる我が人生に悔いなし!

まわりの人を幸せにしたいという思いは、スタッフの人材育成にも注がれている。「スタッフも我が子と同じように接しています。だから本気で怒るし、男の子であろうと泣かせたこともあります。愛があるから本気になれるんですよ。女性であろうと優しさだけでは、経営者なんて務まりませんから」。

かつてカフェ&ジェラート店が思った以上にうまく行かない時もあったというが、前田さんはスタッフを一人も切らずにどうにか持ちこたえた。その後、飲食店から卸してほしいという依頼が入るようになり、店舗販売だけでなく卸を加えたことで売上は安定してきたという。


そのうち、整骨院兼スタジオもだんだん利用者が増えて、昨年11月には広めの場所へ移転。そこでは加圧だけではなく、ピラティス、そして全国的にもまだ少ない“シルクサスペンション※1”も取り入れることに。加えて、プロ選手のトレーニングに使っていた“カイザー※2”という専用マシーンを使ったパーソナルトレーニングを一般の人でもできるようにして、さらなる特徴をつけた。


「今度は赤身の肉が食べられる飲食店の出店を考えているんです。トレーニングの後の赤身の肉は大切ですからね。そしてこの飲食店を成功させて、ゆくゆくはジェラート屋と飲食店をパッケージ化して、プロのアスリートの第二の人生に役に立ててもらうのが私の夢なんです。人に喜んでもらうことって、自分のこと以上に頑張れる気がします」と、爽やかな笑みをこぼす。前田さんのアクティブライフは自己実現というより子どものため、スタッフのため、選手のため。人のために生きる母性愛に満ちていた。


※1 シルクサスペンション…ニューヨークで生まれたハンモック状のサスペンスを使ったトレーニング法。
※2 カイザー…空気圧負荷トレーニングができるプロ仕様のトレーニングマシーン。前田さんのジムでは“2m40㎝のパワーラック”を使用。

スケジュール管理をしているシステム手帳と、写真は愛犬と愛猫たち。「撫でているとほっとしますね!」

スケジュール管理をしているシステム手帳と、写真は愛犬と愛猫たち。「撫でているとほっとしますね!」

読者へのメッセージ

ヒストリー

1965.8(0歳)
滋賀県生まれ
1988.3(22歳)
鍼灸大学を卒業
1988.4(22歳)
結婚
1988.4(22歳)
柔道整復師の専門学校に入学
1989.4(23歳)
長女出産
1990.3(24歳)
柔道整復師の専門学校を卒業
1991.4(25歳)
漢方医院で受付や秘書業務スタート
1997.10(32歳)
流産3回、死産1回を経験後、長男を出産
1999.3(33歳)
次女出産
2002.10(37歳)
鍼灸・整骨院を開業
2007.7(41歳)
離婚
2008.4(42歳)
漢方医院、鍼灸・整骨院を退社
2010.2(44歳)
MIJ設立後、整骨院&加圧スタジオオープン
2013.4(47歳)
カフェ&ジェラート「イルソーレ」オープン
2015.11(50歳)
MIJスタジオ、移転オープン
今後、赤身の肉を出す飲食店出店の予定

※ 年齢は取材時のものです。

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